Beautiful Day / 推しと仲間と希望のパンくずのこと

推しことBOYS AND MEN田中俊介くんの出演する少年社中さんの朗読劇「ダークアリス」を観劇しに池袋まで行ってきました。*1

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※このエントリーは朗読劇「ダークアリス」のネタバレを含んでいます。

 

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田中俊介君の出演回は5/31の昼・夜の2回、共演者は小島梨里杏さんと永塚拓馬さん。
あらすじをざっくり言うと、小島さん演じる主人公の亜梨沙が、無自覚のうちに犯していた「己の罪」の正体を知るため、「アリス」として不思議な世界を巡り、その世界の住人と出会っていく中で、犯した罪とは何だったのか、そして本当に大切なものは何だったのかを知る…というお話。
たどり着いた亜梨沙の罪の答えは、他人や職場という周りばかりを尊重し自分自身をないがしろにすることで、結果的に亜梨沙の最愛の人である恋人・佑にとって一番大切な、かけがえのない宝物=亜梨沙を壊し、佑の心までも傷つけていたことでした。

田中俊介くんが演じていたのは、物語の狂言回し的なポジションになる全体の地の文の語り部と、不思議の国で亜梨沙を導いていく黒うさぎ。
語り部の深く落ち着いた声色と、黒うさぎの時にコミカル、時に感情をほとばしらせる声色の使い分けが印象的でした。*2
そんな中、何より感情が揺さぶられたのが、物語のヤマ場で黒うさぎが亜梨沙に向かって訴えるこのセリフ。

「君は君自身を傷つけすぎたんだ」
「君は君が思っている以上に価値があるんだ。簡単に傷つけちゃいけないよ」

 
そ、それは……それは君が去年調子を崩してグループを離れて以来、ずっと我々ファンが君に言いたくても言えなかった言葉じゃないですか……。

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奇しくもこの公演の当日、地元から東京に向かう朝、U2*3の実に13年ぶりの来日公演が告知され、わたくしもう舞い上がってしまって、公演の直前までそして終わって地元に帰るまでspotifyでずっとU2を聴き続けていたんですね。*4
わたくし常々、「エモーショナルなロック」が「emo」の定義ならばこの世にU2BON JOVIよりエモいバンドはいないと思っていて。本当に、本当にこんなにも、粉々に砕けそうな心に寄り添って、包み込んで、支えてくれる音楽は他にないんですよ。
脱線気味にはなりますが、打ち砕かれて折れそうな心に染み渡る名曲・わたくし内ランキング永遠の殿堂入りの大名曲「Beautiful Day」をここに紹介させてください。いいじゃん俺のチラシの裏だから。毎度ながら拙訳の意訳ご了承ください。


U2 - Beautiful Day

The heart is a bloom, shoots up through stony ground
But there's no room, no space to rent in this town
You're out of luck and the reason that you had to care,
The traffic is stuck and you're not moving anywhere.
You thought you'd found a friend to take you out of this place
Someone you could lend a hand in return for grace

心は花のように咲き誇り 石ころだらけの地面を突き破り芽吹く
でももうここに居場所はない 借りられる部屋もこの街にはない
君は運から見放され 守るべき理由も失った
道路はひどい渋滞で 君はどこにも行けやしない
君はここから救い出してくれる友達を見つけなきゃと思う
かつて手助けした誰かが今度は助けてくれる筈と

It's a beautiful day, the sky falls
And you feel like it's a beautiful day
It's a beautiful day
Don't let it get away
すばらしい日だ 空が降ってくるよ
そして君は思う すばらしい日だと
美しい日だよ
どうか逃さないで

You're on the road but you've got no destination
You're in the mud, in the maze of her imagination
You love this town even if it doesn't ring true
You've been all over and it's been all over you
道の上に立つ君 でも行き先がわからない
ぬかるみにはまり込み、空想の迷宮に囚われてる
君はこの街を愛してる たとえそうは思えなくてもね
君にはここが染み付いてるしここには君が染み付いてる

It's a beautiful day
Don't let it get away
It's a beautiful day
Don't let it get away
すばらしい日だ
どうか逃さないで
美しい日だよ
目を背けないで

Touch me, take me to that other place
Teach me, I know I'm not a hopeless case
僕に触れて あの場所まで連れ去って
導いてくれ まだ望みはあるはずだろ

See the world in green and blue
See China right in front of you
See the canyons broken by cloud
See the tuna fleets clearing the sea out
See the bedouin fires at night
See the oil fields at first light
See the bird with a leaf in her mouth
After the flood all the colours came out
It was a beautiful day
A beautiful day
Don't let it get away
見えるかい 緑と青で彩られた世界
君の右手に広がる中国
雲の切れ間に広がる渓谷
海を一掃していくマグロの一団
ベドウィンの野営の炎
油田に灯るはじめての灯り
ご覧 オリーブの葉を咥えて戻った小鳥を
洪水が終わり生まれ出たあらゆる色彩を
美しい日だよ
目を背けないで


Touch me, take me to that other place
Reach me, I know I'm not a hopeless case
僕に触れて あの場所まで連れ去って
手を差し伸べて まだ望みは捨てちゃいないさ

What you don't have you don't need it now
What you don't know you can feel it somehow
What you don't have you don't need it now
You don't need it now, you don't need it now
Beautiful day
君が持っていないもの 今は必要ないからだよ
君がまだ知らないもの いつか感じられる時が来るよ
君が持っていないもの 今は必要ないからだよ
今は必要のないもの 今は必要のないものさ
すばらしい日だ

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Beautiful Dayを改めて聴きながら、音楽が、歌詞が人の心を救済する力について考えていたんですけど、ちょうど先日、ボイメンtwitter界隈でもこんなエモいやりとりがありましたね。

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田中俊介不在のままリリースされたボイメンの新曲「頭の中のフィルム」発売日におこなわれた、新曲の歌詞を粋に引用したボイメンオタク感涙のやりとりでしたが、*5直接ソロイベントでリーダー水野勝にあの新曲は田中俊介に向けてのものなのかという質問をした方もおられたそうで(水野はやんわりと否定したそうですが*6)あれはやっぱみんなそう思ってたっていうか感じてしまうよな〜そうだよな〜タイムリーすぎるもんな〜仕方ないよ〜〜と頷いた次第。*7


BOYS AND MEN - 「頭の中のフィルム」MV


果たして真相はどうなのかという無粋な話は横に置いておくとして、聞き手がどう受け取るか、受け取ったものをどう解釈して、どういう想いを乗せて、どう飲み込むかは完全に自由なんですよね。そこに正解はないし、聞き手の数だけ答えがある。そして聞き手は同じでも聞くその時々の心情やシチュエーションでメッセージも気づきも流動的に変わる。そういうのが音楽と歌詞のすてきなところだと思っています。だから大切な音楽は末長く人生に寄り添ってくれる。

正解なんて無くても良くて、今この曲が、ボイメンの現状を嘆いて苦しんでいる一部のファンの心に救済として響いていて、もしかしたらメンバーたち自身にも同じように響いている可能性がある、のかもしれない。答え合わせしなくてもそれだけでも充分ではないかな、と思います。

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話はぽんぽん飛びますが、今年2月に封切られて以来、日本と世界の各地で今も上映を続けている田中俊介くんの主演作「デッドエンドの思い出」も、傷付いた心がふたたび前を向いて再生していくまでの物語でした。
撮影されたのは去年2018年の早春、まだまだ田中俊介が調子を崩すずっと前のことで、まさかこんな状況になるとは本人も想像していなかったと思いますが、今改めて見ると、ここ最近のベキベキにへし折れた田中推しの心、そして多分本人にも突き刺さるようなメッセージが劇中から発せられている…!と感じる部分が多々あります。

ボイメン自体が前々から負けそうな誰かを応援したい!引っ張り上げたい!という活動をしているからというのもあるでしょうけど、今回の新曲「頭の中のフィルム」もカップリングの「ONE WAY」も、衣装やPVもあいまって、本来の意図はどうあれ残りのメンバーが田中俊介に必死に手を伸ばして救い上げようとしている感触を感じずにはおれないものになっていると思います。

そして冒頭でふれた今回の「ダークアリス」でのセリフに話は戻っていくんですが、こういう、過去のそして現在の自分たちが誰かを救おうとして、誰かに届けようとして発していたメッセージが、結果として今の彼ら自身の心にいい意味でのブーメランみたいに返ってきていたりするんじゃないかしら、と、件のセリフを読み上げる田中俊介の声が少し涙でこもっているように聞こえるのを感じながら思っていた次第です。
これまで彼ら10人が、悩んで苦しんで迷っている人たちを導くために撒いていたパンくずが、いまの彼ら自身を導いてくれていたらいいなと思います。

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まー全体的に感傷的で甘い希望の話ではありますけどね、双方想い合って引き合っててくれよっていう。でも希望にしても音楽にしても舞台や映画でも何にしたって、陶酔が救済になることはあるんですよね。
甘っちょろかろうが何だろうが、それが絶望の淵に沈むのを救ってくれる綱なら掴まない手はないと思いますよ。拾えるならパンくずだって拾うよ。笑いたい人には笑わせておけばよろしい。

1日も早く、大切な10人が10人に戻れる日を祈りながら待っています。
I know it's not a hopeless caseでしょ。

 

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追加

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わたくしが駄文(これ)をこねこねしてる間に…

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うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん(涙)

*1:リーディングシアター「ダークアリス」池袋サンシャイン劇場にて 2019年5月29日〜6月2日

*2:あと、他の演者さんが演じている間の表情や目線の投げかけ方。映画での芝居の時もそうだけど、自分がメインじゃない時も一瞬も気を抜かない姿勢が、ボイメンのライブ中、ずっと歌詞に合わせて表情を作ったりファンに笑いかけたりして一瞬も顔がさぼってないあの姿勢と同じ!とちょっとグッときました。

*3:言わずと知れたアイルランドの至宝。

*4:直前まではボイメンの新曲「夢Chu☆毒」を1曲リピートしてました。大好き。10人でやってくれ。

*5:現在グループから完全に距離を置いている田中俊介側からボイメンに向けたと思われるメッセージが出たのはこれが初めて。

*6:「楽曲を作るのは大変な事なのに、勝手に内容を決めつけてしまうようなことはよくない」みたいな答えだったようで。礼儀正しく義に厚い水野らしい。あと「田中に向けてるなんてことにしたら、田中だって嫌だろうから」ですって。男の子たちの不器用な優しさ。

*7:ていうかこれもう、つじちゃん個人はどういう想い込めて歌ってるか正解出ちゃってるなってやつですけど。「自分が誰かの人生をよりよくできたら」という願いから教員を、そして「教員よりもっと多くの人に関われるように」と芸能の道を志したつじちゃんの、そういう実直なやさしさが心から大好きです。